この記事の内容:
- ヘルプデスクが解約をいち早く察知する理由
- ステップ1:解約の兆候に自動でタグを付ける
- ステップ2:低評価が付いたら必ずアラートを受け取る
- ステップ3:時間ルールで反応のない顧客を検知する
- ステップ4:解約リスクのあるアカウントに迅速なSLAを適用する
- ステップ5:解約の兆候をCRMに送信する
- ステップ6:毎週レポートで状況を確認する
- 30分でできる設定チェックリスト
ヘルプデスクが解約をいち早く察知する理由
顧客が解約を考えているとき、たいてい最初にそのことを伝える相手はサポートチームです。ただし、直接そう言うとは限りません。データのエクスポート方法を尋ねたり、契約終了日について触れたり、星2つの評価を付けた後に二度と連絡してこなくなったりします。
そうした兆候の多くは、チケットごとに個別に対応され、全体として確認されることはありません。各エージェントは一つの会話に対応して終わりです。顧客が去った後に振り返って初めて、パターンが見えてきます。
LiveAgentには、こうした兆候を捉えるためのツールがすでに備わっています。自動化ルール、時間ルール、SLAレベル、タグ、レポートです。このガイドでは、それらをつなぎ合わせてシンプルな解約防止の仕組みを構築し、手遅れになる前に適切な担当者へ兆候を届ける方法を説明します。こうした兆候が重要な理由については、顧客が一見満足しているのに離れていく理由 で、よくある7つの原因を紹介しています。
LiveAgentは当社の製品です。このガイドでは、どのヘルプデスクでも活用できる顧客維持の取り組みとあわせて紹介します。
ステップ1:解約の兆候に自動でタグを付ける
離脱に関する言葉が含まれるチケットに churn-risk などのタグを付けるアクションルールを作成します。このガイドで紹介する他のすべての機能の基盤となるのがタグです。アラート、SLAの変更、レポートのいずれも、タグで絞り込めます。
設定するには、設定 > 自動化 > ルールに移動して、新しいルールを作成します。
- トリガー: チケットが作成された
- 条件: 本文に 解約、契約解除、データをエクスポートしたい、契約終了、乗り換え、返金 などの語句が含まれる
- アクション:
churn-riskタグを追加
まずは短い語句のリストから始め、1週間後にタグ付きチケットを確認しましょう。「会議の招待をキャンセルする方法は?」のような誤検知や、見落としていた表現が見つかります。リストを一度調整すれば、その後何カ月も役立ちます。
ステップ2:低評価が付いたら必ずアラートを受け取る
低評価は最も明確な解約の兆候ですが、月次レポートにしか表示されないと見過ごされがちです。LiveAgentのルールはエージェントが評価を受け取ったときに実行できるため、当日中に届くメール通知に変えられます。
次のルールを作成します。
- トリガー: エージェントが評価を受け取った
- アクション: チームリーダーまたはアカウント担当者にメールを送信(宛先欄にメールアドレスを入力)し、
churn-riskタグを追加
目的はエージェントを責めることではありません。顧客がまだ会話を覚えているうちに、別の担当者から連絡できるようにすることです。マネージャーから「評価を拝見しました。何が問題だったか教えていただけますか?」と短いメールを送るだけで、最初の回答以上の効果が得られることも少なくありません。評価はLiveAgentのエージェントランキング から取得するため、まずチャットとメールで有効になっていることを確認してください。
ステップ3:時間ルールで反応のない顧客を検知する
不満を伝えず、ただ返信をやめてしまう顧客もいます。時間ルール は、一定期間何も起きなかったときに実行されるため、そうした状況を捉えられます。
設定しておきたい時間ルールは2つあります。
- 顧客から返信がない: トリガーにチケットのステータス変更から一定時間経過を選択し、条件をステータスが回答済みに設定します(エージェントが返信した後、顧客から返事がない状態)。48時間後に、問題が解決したかどうかを尋ねる短いフォローアップを送ります。
- 解約リスクのあるチケットに進展がない: 同じトリガーを使い、条件をチケットのタグに
churn-riskが含まれることにします。ステータスが24時間変わらなければ、担当エージェントまたはチームリーダーのアドレスにメールを送ります。
1つ目のルールは、通常のチケットが気付かれないまま放置されるのを防ぎます。2つ目は、解約に言及した顧客のチケットが、一般的な問い合わせの後ろに埋もれないようにします。
ステップ4:解約リスクのあるアカウントに迅速なSLAを適用する
特に離脱の兆候が見られるとき、最も価値の高いアカウントを他の顧客と同じ列で待たせるべきではありません。LiveAgentでは、顧客グループとSLAレベル を使って対応できます。
- 主要アカウントを、たとえば 主要アカウント という顧客グループに追加します。
- 初回応答の目標時間をより短くしたSLAレベルを作成します。
- 設定 > 自動化 > SLAでSLAルールを作成します。条件は、顧客グループが 主要アカウント、またはチケットのタグに
churn-riskが含まれること。アクションは、SLAレベルをより厳しいものに変更することです。
SLAルールはチケット作成時に実行されるため、主要アカウントからの最初のメッセージにも適用されます。チケットが後から解約リスクのある状態になった場合は、ステップ2の評価ルールにも同じSLAレベルを変更アクションを追加してください。
これは、1つのアカウントが売上の大きな割合を占めるB2Bで特に重要です。また、自社製品の導入を推進していた担当者が退職した場合も同様です。CEOのJoel Passenが紹介したSturdyの分析 によると、推進担当者の退職後12カ月以内にアカウントが解約する確率は51%でした。主要アカウントのチケットに新しい担当者の名前が現れたら、通常の対応ではなく、最速の応答を提供するべきです。
ステップ5:解約の兆候をCRMに送信する
更新契約の管理をサポート部門が担うことはあまりありません。担当するのはアカウントマネージャーやカスタマーサクセスリーダーであり、彼らはヘルプデスクを常用していないかもしれません。LiveAgentのルールを使えば、兆候をその担当者に届けられます。
churn-risk ルールに、2つ目のアクションとしてHTTPリクエストまたはURLを呼び出すを追加します。CRMのWebhook、またはタスクやSlackメッセージを作成できるZapierなどのツールを指定します。これで、顧客との関係を担当する人が、普段使っている場所で警告を確認できます。
CRMではなく共有受信箱を使っているチームなら、アカウント担当者のアドレスにメールを送信するだけでも同じ役割を果たせます。
ステップ6:毎週レポートで状況を確認する
ルールは個々の兆候を捉え、レポートは解約リスクが高まっているかを示します。週に一度、15分ほどかけて次の3つのレポートを確認しましょう。
| レポート | 確認する内容 | わかること |
|---|---|---|
| タグレポート | 今週の期間で churn-risk チケット数を確認し、先週分も表示して比較する(2回実行) | リスクが高まっているか、どの話題で増えているか |
| SLA遵守レポート | より厳しいSLAレベルで絞り込み、達成・未達のSLAを確認する | 最速のSLAが実際に守られているか |
| エージェントランキングレポート | 低評価と該当するエージェントを確認する | トレーニングやプロセス改善が最も必要な箇所 |
ヘルプデスクの外で確認したい数字がもう一つあります。決済の失敗です。Recurlyの解約ベンチマーク
によると、主にカード決済の失敗による受動的な解約は、SaaS、eコマース、B2Bサービス全体で解約の約3分の1を占めています。これらの顧客は自ら離れることを決めたわけではありません。churn-risk タグに請求関連の問い合わせが見られるなら、まず決済フローを改善しましょう。
30分でできる設定チェックリスト
| ステップ | LiveAgent内の場所 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 解約関連キーワードにタグを付ける | 設定 > 自動化 > ルール | 5分 |
| 評価のアラートを設定する | 設定 > 自動化 > ルール | 5分 |
| 反応のないチケットをフォローアップする | 設定 > 自動化 > 時間ルール | 5分 |
| 主要アカウントに迅速なSLAを適用する | 設定 > 自動化 > SLA | 10分 |
| 兆候をCRMに送信する | ルールにHTTPリクエストアクションを追加 | 5分 |
| 毎週状況を確認する | レポート | 週15分 |
初日から6つすべてを設定する必要はありません。タグ付けルールと評価アラートだけでも、大きな効果が得られます。タグが適切な兆候を捉えていると確認できたら、残りの設定を追加しましょう。
顧客維持の目標設定や、自動化を始める前の顧客セグメント分けなど、全体像を知りたい方は、顧客維持戦略の構築 に関するガイド、または顧客維持 の総合ガイドをご覧ください。

